FateHF第二章 感想
- 2019/01/18
- 02:10
Fate/stay night Heaven's Feel 待望の第二章、見に行ってきたのでそのプチ感想を。
UBWと同様戦闘シーンの素晴らしさは言わずもがな、しかし目を付けるべきはやはり、人間ドラマとしての物語性に違いない。
ワカメと桜の歪な兄妹関係は、妹の才能への嫉妬と反動による抑圧、それにより穢れゆく桜の心身を浮き彫りにさせている。
桜と凛の姉妹関係には、敬慕する姉と“姉妹として”対峙できた純粋な喜び、一方で妹を不幸にしてしまった姉としての責任と葛藤が表れている。
士郎とイリヤの兄妹関係には、切嗣への憧れとそこから外れゆく士郎を慰めるイリヤの姉らしい一面を見ることができた。
別ルートで無残に殺されてばかりのイリヤを今度は守ってみせたシーン、士郎はイリヤとの関係性に気づいていないが、
それでもなおイリヤの手を取る姿を見て、第三者視点の想像により二人の絆を補完するからこそ、ぐっとくるものがあった。

また、第二章は“狂いゆく人”を精緻な心情描写で描いていたので、この点をもってしても、圧倒的に人間ドラマだったと言える。
ワカメは才能への嫉妬と肥大する自尊心、それでも存在を無視される恐怖から気を狂わせていく。
桜は穢れゆく自分へ激しい嫌悪を募らせると同時に、前途への恐怖と周囲の抑圧、折れかけた心を唯一支えてくれた士郎への愛欲と、穢れた自分が関わってはいけないという自己矛盾。
しかし、凛が士郎と接しているのを見るだけで嫉妬心を抑えきれず、狂いゆく心は袋小路に追い詰められる。
それでもなお、士郎が受け入れてくれる事で救われるが、今度は聖杯の影響により、意図せずして人の道から外れていく堕落。

そんな士郎も、桜への愛と目指してきた正義が両立不可能である現実を突き付けられ、
ナイフを持ち出し桜を殺そうとするも、葛藤の末、愛する女の子を殺すことなどできず、「桜だけの味方」を選択するという退廃。
人間の醜い本質を描写し、醜いがゆえにどうしようもなく心が惹かれ、その弱さと儚さに人間らしさを感じる素晴らしいプロットである。
特に清純・純白として描かれた桜が、嫉妬や肉欲に塗れ堕落していく姿と、正義を捨ててまでそれを許容する士郎の愛こそが
この物語最大の見所であり、そういう意味で、何度も繰り返すがFateHFは紛れもない人間ドラマだった。
この静的な物語性を際立たせるのが動的な戦闘シーンであり、愛の美しさと穢れという二律背反を象徴するのがセックスシーンなのであって
以上の事を決して、「作画スゲェ」、「エッチだ・・・」みたいな、陳腐な表現で片付けてはいけないだろう。
